2017年10月28日 更新

【官能小説】男なんていらないの…乱れ咲く白百合たち【1】

「ねえ、こういうの見たことある?」英理子は、小学校3年生の頃、不運に見舞われた。夏休み中にプール教室に通っていた時のことだった…

「ねえ、こういうの見たことある?」

英理子は、小学校3年生の頃、不運に見舞われた。

夏休み中にプール教室に通っていた時のことだった。
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暑い夏の日。

知らない男に道を聞かれた。

20代か30代か。

白いポロシャツにジーンズの、眼鏡をかけたひょろっとした男だった。

でも聞かれた場所に心当たりはなく、知らないと首を振った。

それなのに、男は英理子の後をついてきたのだ。

不審に思いながらも、学校への道を急いだ。
細い路地に入り、学校が坂の上に見えてきた頃、男が再び声をかけた。

「ねえ、こういうの見たことある?」

何かと思って振り返った英理子の目に飛び込んできたのは、見たこともないグロテスクな、こちらに突き出した赤黒い長いものだった。

男はヘラヘラニヤニヤと笑っていた。

これが何を意味するのかはわからなかった。

でも、本能的に英理子は逃げ出した。
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しかし男は素早く英理子の手首を掴んだ。

とっさに持っていた水泳バッグを男に叩きつけた。

「待ってよ!」

男は叫んだが英理子は振り返りもせずに学校へ駆け込んだ。
英理子の心臓は、ばくばくと激しい音を立て続けた。

走ったことによる息切れが治っても、その心臓の音が身体中に響いていた。

学校には、同じくプール教室に通う友達がワイワイと集まっていた。

「あ、英理子ちゃーん!」

声をかけられても、うまく笑えない。
「どうしたの?走ってきたの?」

無邪気に聞かれる。

「ううん、あ、うん…」

間も無く先生が現れて出席をとった。

(誰か、先生とかに言ったほうがいいのかな…)

でも、なぜだか言えなかった。
恥ずかしいからか。

自分は何も悪いことなどしていないのに、罪悪感があった。

男をプールバックで叩いた感触が手に残っていた。

プール教室が終わり、帰る時になって不安になった。

(またいたらどうしよう…)

さっきの細い路地を通りたくなかった。
英理子は、友達と回り道をして帰った。

家に帰ると母親がアイスを出してくれた。

けれど、今日起きたことを母に話せたのは、3日ほど経ってからだった。
これが、英理子が初めて男のペニスを見た経験だった。

幸いにも、それ以上のことをされることはなく、男にもう会うこともなかった。

母親が学校に連絡してくれ、登下校時には保護者が同行することになった。

けれど、同じような白いポロシャツにジーンズ、そして眼鏡の男を見ると体がこわばった。
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この事件は、英理子の心に大きな傷を残した。

最近は世の中に痛ましい事件が次々と起きていて、それに比べれば大したことではないのかもしれない。

でも、英理子は、男に対して拒絶反応を示すようになっていた。
頭で考える前に、男というものに対して身がすくむ。

相手が何をしているわけでもないのに。

特に年上の大人が怖かった。

中学校の担任が、この時の男に似ていた。

学校に、行けなくなった。
その後、私立の全寮制カトリック系女子校に編入した。

教師も生徒もみんな女。

女の園。

ようやく英理子は、笑顔で暮らせるようになった。
女子校。

それは、男にとっては幻想を持ちがちなものだろう。

その上全寮制。

でも、女子校とは男の目がないだけはした無くなり、慎みを失いがちだ。

この、英理子の学校を除いては。
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かなり厳格な規則があり、敬虔なカトリックの子女が通うからか、かなり閉鎖された空間で生徒たちはしづしづと暮らしていた。

部屋は2人部屋で、上級生と下級生が組む仕組みになっていた。

英理子は、先輩に助けられ、後輩の面倒をみ、充実した寮生活を送っていた。
中学2年の時の同室は、3年の真紀先輩だった。

真紀先輩はスポーツが得意で、バレー部のキャプテンをしていた。

高等部からも一目置かれるほどで、いわゆるみんなの憧れの的だった。

面倒見が良く、明るい真紀といっしょの生活は楽しかった。
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ある時を境に、その楽しみが変わった。

英理子はその週末、自宅に帰省していた。

日曜の夕方に帰るはずが、父の出張が重なってしまったので、父の出発に合わせて昼過ぎに寮に戻ってきた。

自分と真紀先輩の部屋に入ろうとドアノブに手をかけると、中から微かに声がした。

(真紀先輩いるんだな。)
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LAYLA LAYLA