2017年11月25日 更新

【官能小説】混浴温泉の湯は白濁して…【1】

フラれた。結婚するつもりで付き合って3年、プロポーズ待ちかと思ってたら、フラれた。彼は線が細いタイプのイケメンで、イイトコ育ちのエリートサラリーマンだった…。傷心旅行の、久美の物語。

フラれた。

結婚するつもりで付き合って3年、プロポーズ待ちかと思ってたら、フラれた。

彼は線が細いタイプのイケメンで、イイトコ育ちのエリートサラリーマンだった。

友達の紹介で出会って、向こうから付き合ってほしいって言われた。

でも、他に結婚したい女ができたんだってさ。

29歳アラサー、気分はすっからかんだ。
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傷心の久美は、一人温泉に来ていた。

彼と一緒に来るはずだった、この温泉旅館。

「一人で来るとかイタイな…」

予約の変更を申し入れても問題ないとのことだったので、誰も誘わず一人で来てしまった。

でも、旅館の中ですれ違うのはみんなカップルや家族連れや、友達同士。

さすがに一人で来ている人はいないようだ。
仲居さんはもちろん何も言わず、部屋に案内してくれた。

2階だけれど見晴らしも良くて、遅い桜が舞っているのが見えた。

彼と出会ったのも、桜の季節だった。
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自然に、頬を涙が伝っていた。

彼を失ったのが悲しいのか、一人になってしまったのが悲しいのか。

似ているけど、ちょっと違うこの二つ。

久美は、後者な気がした。
久美の昔からの友達の亜紀子は、打算がない。

結婚するのにお金とか稼ぎとか考えるのがわからない、という。

そう言って結婚した相手は確かに愛はあるけどいつもお金がなく、亜紀子はいつも経済的に苦しい思いをしている。

その姿を見ていた久美は、そうはなりたくなかった。
だから、そんなに好みでも好きでもなかったけれどエリートさんならと思って、付き合っていた。
それでも3年は長い。

しかも26から29。

ダメージは大きい。
一度泣き始めると、後から後から涙が出て来る。

「ヒック…」

大人気ない泣き声が漏れた。

その時、下の植え込みがガサガサっと動いた。

顔を出したのは、ラフな和風の作業着に身を包んだ男だった。

年は…24ー5といったところで、ヒゲがワイルドだ。
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男は下から久美を見上げている。

泣き顔を見られて恥ずかしく、慌てて窓辺にしゃがみ込んだ。

すると少しして去っていく足音が聞こえた。

そおっと窓を除くと、誰の姿もない。

新たにチェックインする客だろう、カップルのキャピキャピした声が近づいていた。
気を取り直して街をぶらぶらしたけれど、気は晴れなかった。

お願いした早めの食事の時間が近づいて来たので、トボトボと旅館へ戻る。

二人でしっぽり食事の予定で、予約したのはお部屋食だ。

「一人でご馳走か…」
食事は美味しかったけど、一緒に味わう人がいなければ味気ないものだ。

癖でSNS用の写真は撮ったけど、一人で温泉なんて痛々しいものアップできるはずがなかった。

「温泉、入ってこよう…」

チェックインの時に説明された見取り図を頼りに温泉に行く。

女湯は内湯しか使えないとのことだった。

「せっかくなら露天がいいよね…家族風呂とかあったっけ。」

独り言ばかりの自分に苦笑しながら、フロントへ行った。
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「家族風呂はご予約がいっぱいで…少々お待ちくださいませ」

パソコンを確認してくれるスタッフ。

「ただいま家族風呂をご利用のお客様以外はお食事が始まったばかりですので、1時間弱でしたら混浴の方でもお一人でご利用いただけるかとは思いますが…いかがなさいますか?」



混浴にはちょっと抵抗があったが、ささっと入るくらいなら誰もこないのかもしれない。

「じゃあそうします。」

そういって混浴の方へ向かった。
露天の混浴は広く、すぐそばの桜が舞い散っていてとても風情があった。

フロントで言われた通り、誰もいない。

(男の人が来ると嫌だし、早く入っちゃおう)

浴衣を脱いで、裸になった。

ここの温泉は濁り湯で、肌がツルツルになると言われていた。

実際に入ってみると思っていたよりも白くて、湯の中は何も見えない。

「フーーーーっ…」
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息をついた時、ガラリと音がした。

(え!?)

引き戸の方を見ると、おじさんの男性客が3人立っている。

「あ、先客かな?」

ニヤニヤしながら3人はロッカーの方へ行った。

(えー…まだ入ったばかりなのに…しばらく誰もこないって言ったじゃない!)

出るに出られず、久美は湯に身を沈めたままザブザブと隅の方へ行った。
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LAYLA LAYLA