二人の恋には秘密があった。雨上がりの日曜日、クレアは石畳の上を歩いていた。コツコツとヒールの音を鳴らし、建物の間でその音に耳を澄ませていた。しかし、彼女の足音はピタリと止まった。これがシークレット・ラブの始まり。
「何あれ?」道の上に黒い塊が転がっている。都会にクマが出てくるわけがない。クレアは恐る恐る近づいてみた。そして、その黒い塊が男性であることに気づいた。「ちょっと、嘘でしょ!?大丈夫!?」クレアは男性に近づき、声をかけた。「もしもし!?」このような時は倒れている人を動かしてはならないとどこかで耳にしたことがある。「今、救急車を呼ぶから。」クレアは急いで携帯電話を取り出した。「それは困る。」男性はか細い声でクレアの手を握った。
「そんな状態で何を言っているの?」クレアは男性の顔を見る。肌が青白くなっているのはわかったが、サングラスをかけていて、長い前髪がほとんど顔を隠していた。「過労で気分が悪くなっただけだ…。少しだけどこかで休ませてくれないか。」男性はやっとのことで声を絞り出した。とても演技だとは思えない。「何か事情があるのね。」クレアは見た目が怪しい人だとは思ったが、嘘をついているようには感じなかったため、男性を起こして横になれる場所を探した。彼は背が高くて重たい。
たまたま、近くにラブホテルがある。「まさか、全て演技で私をホテルへ連れ込んで乱暴をしようだなんて考えてないでしょうね?」クレアはさすがに怖くなって男性に聞いた。男性はクレアにもたれかかり、うなだれたまま「まさか。」と笑った。「とにかく横になりたい。騒ぎになるのは面倒だ。」男性はとても辛そうにしている。「わかったわ。」クレアは男性をホテルに運び、部屋の中へと入った。「本当に病院に行かなくて大丈夫なの?」男性をベッドまで誘導して横にさせながら言った。「んー。」男性は話す気力もなさそうだ。そのままグーグーといびきをかいて寝だした。
なんなの、この人。クレアは色々と疑問でたまらなかったが、本当に過労で具合が悪かったのであれば可哀そうだなとも思った。タオルを水で濡らし、彼の汗を拭ってあげることにした。タオルが頬に触れた途端、彼がピクンと動く。「あ、ごめんなさい。冷や汗が酷いから拭いてあげようと思って。」クレアは声をかけたが、男性はまたいびきをかいて寝だした。よっぽど疲れているのね。そう思いながらクレアは男性のサングラスを外した。
「ん!?」クレアは一瞬固まった。寝顔なので直ぐには分からなかったが、どこかで見覚えのある顔だ。上から、斜めから、横からと男性の顔をクレアは眺める。「まさかね…。」クレアは世界的トップスターの顔を浮かべていた。「まさか。そんな、まさか。」クレアは混乱して笑いだしてしまった。トップスターならボディーガードとかつけているはずでしょ?そんな人が路上で倒れているわけないじゃない。クレアは思い当たる人物をネットで検索しながら、画像を見ていた。そして、右足首のタトゥーをチェックした。画像と一致している。
私、騙されているんだわ。クレアの心臓はドキドキと高鳴った。落ち着こうと思い、クレアは立ち上がって部屋をうろうろした。きっと、そっくりさんよ。あるいはトップスターに憧れて整形までした人かも。ないない、ありえない。クレアは鏡の中の自分を見る。これは悪い夢だわ。そう思い頬をつねったら痛かった。とにかく、彼が起きたら話を聞いてみましょう。クレアはそっと彼の寝顔を写真に収めた。
彼は3時間ほどずっと寝続けた。クレアはしばらく落ち着かなかったが、ソファーに横たわっているといつの間にか寝てしまっていた。物音に気付き、目が覚めた。
「あ、起こしちゃってごめんね。」目の前にシャワーあがりのトップスターが立っている。クレアは冗談やめてと笑って二度寝をしようと思ったが、次の瞬間、バッと飛び起きた。
彼は3時間ほどずっと寝続けた。クレアはしばらく落ち着かなかったが、ソファーに横たわっているといつの間にか寝てしまっていた。物音に気付き、目が覚めた。
「あ、起こしちゃってごめんね。」目の前にシャワーあがりのトップスターが立っている。クレアは冗談やめてと笑って二度寝をしようと思ったが、次の瞬間、バッと飛び起きた。
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