2017年7月8日 更新

【官能小説】セレブパーティーはひとときの甘い夢【1】

音大生の由良は、演奏の仕事でセレブパーティーに行くことに。担当教官への叶わぬ想いに悩む由良は、そこで誰と出会ってしまうのか…?

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「由良、今度の日曜空いてる?」

隣でヴァイオリンを片付ける沙希子が声をかけた。

由良は現役音大生。小柄な体に似合わない大きなチェロを勉強中だ。

そしてヴァイオリンの沙希子は同級生で、一緒にカルテット、つまり四重奏団を組んでいる。

授業の一環で始めたカルテットだけれど、意外に気があってそのまま定期的に集まって弾いている。

最近は時々演奏のアルバイトも入り始めていた。
「なに?仕事?」

由良はたっぷりの楽譜をしまう。

ヴィオラの悠太郎ともう一人のヴァイオリンの千佳はもう帰っていったようだ。

「そ。セレブパーティーだよ。」

沙希子は嬉しそうに言った。
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沙希子の友人はいわゆるお金持ちのお嬢様が多い。

このパーティーも、声楽科の友達のお父さん主催ということだった。

確かそのお父さんはどこかの社長だったような…。

いるところにはいるものだ。
音大生といったらみんなお嬢様と思われがちだけれど、結構普通の家庭の子が多くて、由良はごく普通のサラリーマン家庭だ。

セレブにもパーティーにも、こういう仕事でないと縁がない。

ドレスだって演奏用の一着を着まわしている、庶民派音大生だった。
「出会い、あるかなあ〜♪」

沙希子はいつも出会いを探している、恋多き女。

今も別にフリーでもないし、そもそもフリーの時なんてない。

由良は沙希子とは仲良しだけど、男の面では対照的だ。
由良には、ずっと好きな人がいる。

それは、チェロの師匠でもある広谷准教授。

43歳で、もちろん家庭あり。

誰にも言えない、秘密の恋だった。
広谷は、由良の想いを知っている。

そんなに鈍い男ではないし、由良も二人の時はその想いを隠そうとしていない。

でも…いつもはぐらかされ、一度想いを伝えた時も家庭があるからと断られた。

広谷は真面目な男だし、生徒に手を出してクビになるような馬鹿な真似はしないだろう。
だから、由良はずっと好きなだけ。

相手にされない男を、プラトニックに、好きなだけ。

時々…広谷の姿を妄想してオナニーするだけ。
次の日は、広谷のレッスンだった。

好きな男のレッスンだ、もちろん由良は真面目に取り組むし、成績だっていい。

何事もなくレッスンを終え、レッスン室を出るときにふと思い立って由良は言った。

「私、日曜日セレブパーティーで仕事なんです。」

楽譜棚を探す手を止めずに広谷は言った。

「そうか、カルテットで?」

「はい。出会い、あるかなって。」
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どうしてそう言ったのか。思ってもいないのに。

広谷はなおも手を止めず、視線を向けることもなく笑った。

「ははは、いいな。音楽家にパトロンは大事だぞ。」

由良は虚しさを胸にドアを閉めた。
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広谷は、由良のことを本当になんとも思っていないのだろう。

由良は、あの指で触れられたいと思っているのに。

本当は、レッスンのたびに濡れているのに。

チェロを弾く後ろから、抱きすくめられたい。

耳元で囁かれたい。

エッチなことをされて、それでも「弾き続けて…」と言われて…

弾きながらイってしまいたい。
今夜も、レッスン室でのセックスを妄想して、何度もイくのだろう。

「むなしい…」

つい、口にしていた。
日曜日。快晴。

セレブパーティーの場所は自宅の庭ということだった。

案の定、自宅というより城といった方が良さそうな広さの家で、庭にはプールがあってとまあ典型的なお金持ちのお家だった。

BGMとして何度か休憩を挟んで5時間のパーティー。

セレブなだけあって報酬もとても良かった。
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パーティーが始まる前に控え室に通されたが、よほど部屋数が余っているのか、一人に一部屋いただいた。

それぞれの控え室で衣装のドレスに着替え、ウオーミングアップを始める。

沙希子の音がしないから、多分念入りにメイク直し中だろう。

由良は、出会いなんて期待もしていないので、いつも通りだ。
時間になって、四人で庭に向かう。

片隅に演奏コーナーが設けられている。

指示を受け演奏を始めると、招待客が大勢庭にやってきた。

年齢層は…高め。40代くらいからで、もっと年上の恰幅のいい人が多かった。

沙希子は明らかにがっかりした顔をして弾いている。
恋にいつでも積極的な沙希子をちょっと羨ましく思いながら、由良は目の前の楽譜に集中した。

かすかに誰かの視線を感じながら。
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LAYLA LAYLA