【官能小説】お嬢様はあのニオイを愛している【2】

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沙羅は足早にその場を去って二人の元へ駆けた。

「ごめん…」

「もう〜怖かったよ！あんな人のそばに近寄ったらダメだよ！」

「危ないって！」

二人は声を潜めて言った。

「そんなハンカチ、捨てちゃいなよ！あの人が触ったんでしょ！？」

綾はそう言ったけれど、沙羅は…捨てられなかった。

「大事なものだから…」

そう言って、再びポケットの中にしまった。

家に帰って着替える。

制服のスカートとストッキングを脱ぐと、ぷんと生臭いような匂いがした。

（生理は終わったばかりだけど…）

と不思議に思って何気なく下着に手を触れた。

そのパンティは…濡れていた。

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「お、お漏らし！？」

思わず声に出したが、おしっこを漏らした覚えはない。

これが、初めて沙羅が『濡れた』経験だった。

あの日から、沙羅は毎日寝る前にハンカチの匂いを嗅いだ。

柔軟剤の香りが心地いいリネンの中で、すえた匂いを放つハンカチ。

あの時少しホームレスが触れただけなのに、その匂いはしっかりと染み付いていた。

そしてその匂いを嗅ぐと、下半身がムズムズした。

初めて濡れた時には知識がなかった沙羅だが、あれから、密かにネットで検索して、女は性的に興奮すると濡れるということを知った。

そして自分があの匂いに興奮するのだということも…。

ハンカチの匂いが薄れ始めた頃、いつもモジモジと擦り合わせていた腿の間に、手を入れた。

母親やメイドから

「ここは大切なところだから触ってはいけませんよ」

と言われていたあそこ。

素直な沙羅はその言いつけを13になるまで守っていた。

でも…本能が、沙羅の手を導いた。

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初めて触れるそこは暖かくて、ヌルヌルしていて…

とても気持ちよかった…。

（ふわふわする…）

沙羅はよくわからないままに、自分の性器をまさぐった。

あるところに手が触れた時、強烈な快感が体を駆け巡った。

（怖い…）

でも、その快感は中毒性があった。

まだ幼い少女は、一心不乱にその小さな肉の芽をこすった。

顔を真っ赤にして喘ぐ沙羅の口元には、あのハンカチがあった…。

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それから、沙羅は匂いに敏感になった。

高校生ともなると、いくら世間知らずの箱入り娘とはいえさすがにセックスもオナニーという言葉もわかる。

そして、自分があの不衛生なホームレスの、何日も風呂に入っていないだろう体から発する匂いに興奮するんだということも。

学校帰りなどに、よく他校の男子生徒から告白された。

目を引くほどの美少女で、お嬢様。

モテないはずがなかった。

そして、密かな趣味のためかしっとり色っぽさがあり、魅力を増していた。

でも、誰にもイエスとは言わないのだった。

隣の男子校の、一番モテるという一つ上の先輩から告白された時も、沙羅は断った。

端正な顔立ちにすらっとした長身、友人によれば成績も優秀でスポーツマン。

断る理由は到底なかった。

でも、あの匂いはしなかった。

代わりに、爽やかなかすかなフレグランスが香っていた。

それだけで、沙羅が首を横に振るには十分な理由だった。

沙羅は、もっと獣のような、すえた、粗野な匂いを求めていた。

でも、まさかホームレスに身を差し出すわけにもいかず…

もうなんの匂いもしなくなった、いや沙羅の愛液の生臭い匂いしかしなくなったハンカチを握りしめて毎夜オナニーにふけっていた。

そのまま、高校を卒業した。

エスカレーターで女子大に進み、フランス文学を専攻した。

そして、家族の勧めもあって半年間の交換留学に、パリに飛び立った。