⇒ 出会いはパリ行きの飛行機で…昼下がりの情事【1】は、こちらから
パリの自宅アパルトマンに帰ってからも、荷物の整理や一ヶ月男の一人暮らしだった家を片付けたりと煩雑で、ジョナタンのことはすっかり忘れていた。
アリスも幼稚園を再開し、やっと一息ついたのは、戻って1週間ほど経っていた。
アリスも幼稚園を再開し、やっと一息ついたのは、戻って1週間ほど経っていた。
昼過ぎ、スマホが鳴ったので手に取ると、覚えのない電話番号からメッセージが届いている。
最近よくある詐欺メールかなと開くと、ジョナタンだった。
丁寧に記された文面。
近いうちにお茶でもどうですか、と書いてある。
最近よくある詐欺メールかなと開くと、ジョナタンだった。
丁寧に記された文面。
近いうちにお茶でもどうですか、と書いてある。
via weheartit.com
お茶…。
昼にちょっと会うだけなら、別に問題ないわよね?
夫に、機内であった優しいフランス人のことは話していない。
特に意図はなかったが、事故とはいえ一瞬体が触れたこともあって、なんとなく話さなかった。
少しの罪悪感を胸に感じた。
昼にちょっと会うだけなら、別に問題ないわよね?
夫に、機内であった優しいフランス人のことは話していない。
特に意図はなかったが、事故とはいえ一瞬体が触れたこともあって、なんとなく話さなかった。
少しの罪悪感を胸に感じた。
けれど、夫と出会って以来10年近く男性と二人で話をしたこともない。
妻・母という存在に慣れた有香は、少し刺激が欲しかった。
若い頃有香はそれなりに奔放だった。
苦しい恋をしていた頃は自暴自棄気味になったこともあり、多くの男性と関係を持った。
一度で終わった人もいるし、何度か寝た人もいる。
誠実な夫に出会ってから眠っていた有香の女としての欲望が目覚めつつあった。
妻・母という存在に慣れた有香は、少し刺激が欲しかった。
若い頃有香はそれなりに奔放だった。
苦しい恋をしていた頃は自暴自棄気味になったこともあり、多くの男性と関係を持った。
一度で終わった人もいるし、何度か寝た人もいる。
誠実な夫に出会ってから眠っていた有香の女としての欲望が目覚めつつあった。
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2日後、14時にメトロの出口で約束をした。
自宅同士は近いのだけど、あえて少し離れた場所を選んだ。
あまり友人も住んでいない区。
自宅同士は近いのだけど、あえて少し離れた場所を選んだ。
あまり友人も住んでいない区。
現れたジョナタンは、綺麗にアイロンがけされた白いシャツに、機内でも着ていたレジャージャケット、質の良さそうなデニム。
手入れの行き届いた靴を見て、おそらく裕福な暮らしをしているのだろうと思った。
カフェに入り、向き合って座った。
とりとめのない会話をしながら、互いの意図を探り合う。
手入れの行き届いた靴を見て、おそらく裕福な暮らしをしているのだろうと思った。
カフェに入り、向き合って座った。
とりとめのない会話をしながら、互いの意図を探り合う。
この男は、私を女と見ているのか…
この女は、俺を男と見ているのか…
手の動き、仕草一つにも女を意識してしまう。
この、まだ何も起きていない時の探り合い。
本当にセックスをするより有香にとっては刺激的なひと時だ。
この女は、俺を男と見ているのか…
手の動き、仕草一つにも女を意識してしまう。
この、まだ何も起きていない時の探り合い。
本当にセックスをするより有香にとっては刺激的なひと時だ。
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ジョナタンの目は、次第に機内で出会った時の優しさとは別の色をたたえていった。
不意に、テーブルの下の膝が触れる。
ごめんなさい、と言おうとして、それはジョナタンが意図的に触れさせたのだとわかった。
彼の膝は離れない。
そればかりか、ミリ単位で動いている。
目は、有香の目を捉えて離さず、さっきまで饒舌だったその口は言葉を紡いでいなかった。
そして、白い歯の隙間からちろりと赤い舌がのぞいた。
ぞくん、と有香はお腹の奥にしびれを感じた。
不意に、テーブルの下の膝が触れる。
ごめんなさい、と言おうとして、それはジョナタンが意図的に触れさせたのだとわかった。
彼の膝は離れない。
そればかりか、ミリ単位で動いている。
目は、有香の目を捉えて離さず、さっきまで饒舌だったその口は言葉を紡いでいなかった。
そして、白い歯の隙間からちろりと赤い舌がのぞいた。
ぞくん、と有香はお腹の奥にしびれを感じた。
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「…僕はそろそろ行かないと…」
そういって、何事もなかったかのようにジョナタンは立ち上がった。
有香もふと我に帰り、慌てて追う。
ジョナタンは当然のように二人ぶんを支払い、外に出た。
「また、連絡してもいいですか?」
最初の柔らかな目と表情に戻ったジョナタンは、別れの挨拶をして言った。
「はい…」
また、会える…
有香は、踏み出してはならない一歩をもう踏み出してしまっていた。
そういって、何事もなかったかのようにジョナタンは立ち上がった。
有香もふと我に帰り、慌てて追う。
ジョナタンは当然のように二人ぶんを支払い、外に出た。
「また、連絡してもいいですか?」
最初の柔らかな目と表情に戻ったジョナタンは、別れの挨拶をして言った。
「はい…」
また、会える…
有香は、踏み出してはならない一歩をもう踏み出してしまっていた。
それから、有香はスマホを肌身離さず持った。
そしてメッセージが届くのを待っていた。
でも、5日経っても連絡はなかった。
からかわれただけだったのだろうか…
私から連絡を…しないほうがいいのだろうか…
そしてメッセージが届くのを待っていた。
でも、5日経っても連絡はなかった。
からかわれただけだったのだろうか…
私から連絡を…しないほうがいいのだろうか…
週末は家族で出かけ、妻モード母モードになっていた有香だったが、月曜日、とうとうジョナタンからの連絡が来た。
「明日、食事でもどうですか、もちろん娘さんがいるだろうから、ランチでも。」
来た…!
「おすすめがあるので、ここの住所に来てください」
記載された住所は、自宅からほどなく近い。
何を着て行こうかと、有香は家事が手につかなくなった。
「明日、食事でもどうですか、もちろん娘さんがいるだろうから、ランチでも。」
来た…!
「おすすめがあるので、ここの住所に来てください」
記載された住所は、自宅からほどなく近い。
何を着て行こうかと、有香は家事が手につかなくなった。
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翌日、何事もないように夫を送り出し、アリスを幼稚園に送っていく。
帰った有香は念入りにメイクをし直し、髪を整え、考え抜いた洋服を着た。
なんども鏡を見返し、チェックする。
…念のため、一番お気に入りの下着をつけておいた。
念のため。
帰った有香は念入りにメイクをし直し、髪を整え、考え抜いた洋服を着た。
なんども鏡を見返し、チェックする。
…念のため、一番お気に入りの下着をつけておいた。
念のため。
指定された住所まで、バスに乗った。
そして降りてからGPSで場所を確認する。
バス停のすぐそばだったはずだけれど、そこにレストランやビストロの姿はない。
立ち並ぶのはアパルトマンばかり。
そして降りてからGPSで場所を確認する。
バス停のすぐそばだったはずだけれど、そこにレストランやビストロの姿はない。
立ち並ぶのはアパルトマンばかり。
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