2019年3月19日 更新

レッスンルーム

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定期的に通る電車の音と、まったく知らないことば。座っているだけで頭を使わなくていいから、今日も倒れそうになる。八年は授業を受けてたはずの英語すらわからない。外国語のなかに、眠りの呪文がまざってる、きっと。語学教室はわたしの職場だけど、居ていい場所じゃなさそう。
 ついに仕事中ということを忘れて、ぐてっと倒れ込んでしまったらしくて、次に気づいたときはおでこが痛かった。クスクス声が聞こえてそっちを見たら、ウィル先生がにっこり笑いかけてくる。
thinkstock (89859)

「おつかれさま」
「おっ、つかれさま、です」
 寝てた人が疲れてるはずないのにな、イヤミかなと思ってしまうのは美形が眩しすぎるせいだ、と思いたい。だめ、三秒以上は直視できない。
 時計を見て、あれ、今まだ授業中、と思う。超人気講師で、受付はタイムカードを押すだけってくらいに忙しいウィル先生がここにいるの、ちょっと珍しいな。ぽやっと考えごとをしていたら、目の前に缶コーヒーが置かれた。顔をあげるとウインクされる。
「実はね、塾長から提案があって」
「ふあ……ていあん?」
「平さんに、TOEIC受けてほしいんだって」
「とー、いっく」
「そう、TOEIC」
どこからがTで、どこまでがCかわからない発音に流されそうなそれは、わたしだってよく知ってる。これまでに申込用紙、何枚見てきたんだろう。完全に他人事だ。だった。
「なんでわたし?」
「んー、僕のレッスンを受けてもらうから、かなあ」
「へ」
「広告。あまりにもみんな高得点になっちゃうから サクラ使ってるんじゃないか、って言われたりしてるんだって。その点、平さんなら伸ばしがいがあるだろう、って」
「ん、ん?」
流れがつかめない。まだ、頭は寝てるのかもしれない。
「だから、僕の授業を受けるとどこまで伸びるか。モニターレッスン、だよ」
すっと左手を胸に当てて、手を差し出してくる。ハーフだかクオーターだかしらないけれど、ヨーロッパの人はこうもみんな王子仕込みが完了してるんじゃないかってくらい。白い手袋だって、わざとらしくない(後から聞いたら、ホワイトボードで手を汚したくないからだって言ってて、ウィルらしいなと思った)。
「それに、満足いく点数をとれたら、臨時ボーナスだって」
いち、に、さん、し、ご、万円。いっぱいに開かれた手を見せられたら、もう断る理由はなかった。やります、の返事にウィル先生はほわっと笑った。
レッスン、はその日の夜に始まった。ウィル先生にもわたしにも残業代が出るらしくて、その方がありがたいんだと先生はいたずらっぽく言っていた。
誰もいなくなったフロアの、いちばん奥の個人授業スペースに連れていかれる。
「じゃあ早速だけど、まず自己紹介からね」
「えー、っと、アイナ タイラ」
「英語で」
「あい、あむ、んー、アイナ、タイラ、とうぇんてぃー、オールド」
「アイナ、グッジョブ。しばらくぶりにしては、いい感じかも」
 突然名前を呼ばれて、背中がしゃん、と伸びる。顔もたぶん熱くなってる。
「じゃあ次、Do you have a boyfriend?」
「い、いぇぇす?のー?どぅー、ゆー」
男の子の友人、ならいないことはないけど、同窓会程度でしか会わない子は友人っていえるのかな。英語もよくわからないし、本当ならもう寝てる時間だし、頭が働かなくなってきた。窓の外を見て、ああ星がきれいだな、って気を散らしていたら電気が消えた。
「英語のboyfriendは、彼氏、って意味だけど」
「かれし!?のー、のー…あい」
「No?いないってことで、いい?」
暗い中でもわかるくらい、色素が薄い瞳が近づいてくる。彼氏、いない。頷いた瞬間に唇になにかが触って、なにかが口の中に入ってきて、んあ、って出したことのない声が出てった。
「Sincerely I love you… Aina.」
 わかんない。でも、アイラブユーは聞こえた。どういうことかわかんなくて、でも、あ、甘い、きもちいい。
「ウィル……せんせい?」
「I want you tonight……今すぐ、藍那が欲しいんだ」
ぱさり。手袋が、落ちた音がした。
どうしてだろう、もう電車もなくなりそうなのに、帰りたくない。先生の手がシャツのボタンに届く。わたしは椅子に座ったまま脚を開いてて、タイトスカートが太ももにくいこむ。膝を閉じられないようにすっぽり収まってる先生の腰は見た目よりもがっしりしていて、逃がさないよと言わんばかりに股間を擦りつけられている。パンストとスラックスごしに、先生のそれが固くて熱くて、私の奥もきゅんきゅんしている。
「I fell in love with you at first sight」
とぎれとぎれの吐息にくらくらしながら、なんて言ってるのか聞き取ろうとするけど、わからない。悔しい。ウィリアム先生はほとんど日本語を喋らなくなってきていて、わかるのはアイナ、って時々囁かれてるってくらい。
「せんっ、せ……」
「No, Will」
「うぃ、る?」
「yes」
いちど名前を呼んでしまったら、ああ、もう、まるで恋人みたい。ウィルの指がぐ、とストッキングに突き立てられて、ビリって破けてしまう。ショーツのクロッチ部分を横にずらされて直接撫でられたそこは完璧に濡れている。いつでも来ていいのにずっと指でいじっていて、くちゅくちゅといやらしい音が広がって、余計に興奮してくる。
おもいっきりM字に開脚させられているから座面のクッションを両手で握って、落ちないようにしていた。背中ががくがくして、椅子ごとぐらつきそうになったところを、ウィルに抱きしめられた。隙間から押し付けられたそれが苦しそうに思える。一回イって少しだけ余裕を取り戻したわたしは、ウィルの背中に腕を回して立ち上がって、そのまま机にウィルを座らせた。
「次はわたしに、させて……」
両膝をついて、そろそろと腰を下ろしていく。ストッキングの穴から指を伸ばして、ショーツを横にずらして、先っぽをちゅっと触れさせる。それだけなのにウィルはぶるりと震えて、わたしの腰を一気に引っ張った。ズドンと腰に響いた衝撃に、イったばかりの身体はなんとか耐えてくれた。けどもう、動くほどの力は出ない。厚い胸板にしがみついていたら、Sorryと耳元で囁いたウィルが、下からズンズンと突き上げ始めた。
おおきい、気持ちいい、広がっちゃう、奥に当たって、ここは仕事場だし、教室なのに、もういいや。アイナ、と何度も大きな声で呼びながら、ウィルは一番深いところに長く熱を放った。

しばらく、ぼおっとしていた。ホテルに行こうと言ったのはどちらからだったのだろう、シャワーくらい浴びなきゃ明日が困る、という話になって、結局盛り上がってしまって二回、した。仮眠程度に短く寝て、起きて、彼がずっとわたしを気にかけていたこと、こんな始まり方だけど、恋人として付き合ってほしいと言われて、断る理由は見つけられそうになかった。
ああもう、これじゃあまた、仕事中に居眠りしちゃうかもしれない。ひとり言のつもりだったのに、それじゃあ僕が起こしてあげる、と、大きな白い手で頭を撫でられた。ウィルのことば、わかるようになりたいな、って言ったら、じゃあレッスン頑張ろうね、と微笑まれて、ふたりでアルファベットの歌を口ずさむ。幸せな子守歌の中、今日三度目の眠りの波にさらわれて、意識がふっと、落ちた。

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水無月ゆん 水無月ゆん