2017年12月23日 更新

なぜ「オネエ」はメディア露出が多く、「オニイ」は少ないのか

TVを見ていると、マツコ・デラックスさんを初め、多くのMTFやオネエたちを毎日のようにみかけます。キャラが濃すぎて忘れがちかもしれませんが、マツコ・デラックスさんにしてもミッツ・マングローブさんにしても、女装家というMTFに分類されるセクシュアルマイノリティの人間です。 なぜMTFやオネエばっかりが出演し、カリスマ的FTMやオニイが出てこないの?という素朴な疑問を感じたことはありませんか?

TVを見ていると、マツコ・デラックスさんを初め、多くのMTFやオネエたちを毎日のようにみかけます。キャラが濃すぎて忘れがちかもしれませんが、マツコ・デラックスさんにしてもミッツ・マングローブさんにしても、女装家というMTFに分類されるセクシュアルマイノリティの人間です。
なぜMTFやオネエばっかりが出演し、カリスマ的FTMやオニイが出てこないの?という素朴な疑問を感じたことはありませんか?

はじめに

読んでいる皆様には誤解していただきたくないため
最初に説明致します。

こちらの記事は決して、LGBTの皆様、その他セクシュアルマイノリティの皆様を
貶めたり、優劣を決めつけたりするためのものではなく

あくまでも、LGBTの存在の認識・拡散を促し、それぞれがお互いに認め合えるような
社会づくりのちいさな一歩になれば、という思いを込めてまとめていくつもりでいます。

ご理解くださいますよう、切にお願い致します。

オネエエンターテインメントは毒舌が根源

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皆さんが見ている、TVに出てくるMTFやオネエの皆様。
共通する部分があります。

それは全員「毒舌を吐く」と言うところ。

誰もが思っていることを、空気を悪くすることなく、
サラっと、バシッと代弁してくれるのです。

このため、オネエはメディア露出が多くなるとみられます。

オカマバーに行くとわかるのですが、どんなオネエも

「何なの?このバケモノ!」
「ふざけんじゃないわよ!」

など、罵声のような言葉を柔らかい女言葉で言うことで笑いを取る、エンターテインメントを身につけています。

実際、多くのカリスマママたちで、ウケのいい人というのは
はっきりとした意見を、面白おかしく言うのに長けていますし、
それが上手にできない場合は
いまいちお店での人気も上がりません。

こうしたエンターテインメント的コミュニケーションは
オネエ以外の種族には
到底できない技と言っても過言ではない、職人技なのです。
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というのも、男性が女装をすることは、見た目からすると
非常に違和感を感じる出来上がりになる、というのは皆さんも感じるところでしょう。
美しいはずなのに、どこかいかついようなギャップと、
男性らしさを消すためのやり過ぎるメイク、と言うのは
やはり元々が男性でなければできないのです。

そんな見た目にコンプレックスを抱えるMTFが
他人をコミュニケーションを取る際に、自分を守るため、そして
周りへの配慮を考慮した結果、最終的に「毒舌」という手段に至ったわけです。

もちろん最近は「え?女の子じゃないの?」と本気で思う程
クオリティの高い、美人のニューハーフの子や、男の娘もいます。

しかし、多くのメディア露出を継続できているMTFやオネエはやっぱり
どこか違和感を感じる見た目で、上手に毒舌を吐く、攻めの姿勢の強い傾向にあるMTFなのです。

社会から排除されたものが蚊帳の外から言う悪口は許される

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なぜ、MTFやオネエの皆さんが「毒舌」をいう手段で
多くの人から支持を得られるようになったのでしょうか?

MTFという存在は、過去(今でも一部そうですが)
オカマと言われ、変態扱いをされ、社会から排除されてきました。

つまり、社会的にその存在を認められていない、人権のないものとされていたわけです。

今でもなんとなく、「別の世界の生き物」と思っている人たちは多いでしょう。

そんな人たちが自分たちの世界に向かって、悪口を言ってきたところで
誰も怒ったりしません。
「こっちの世界」の人ではないからです。

外国人が、「日本にはサムライがいるんでしょう!」と、
時代錯誤で突拍子もないことを言ってきたところで
多くの日本人は笑って許すのと同じ心理です。
オネエエンターテインメントというのは
そうした「突拍子もない感じ」で「別の世界」から「割と的確に」意見を言うため
みんなが受け入れやすいのです。

そのため、
社会から排除されたMTFが、
社会に受け入れてもらえる唯一の手段が「毒舌」になったのでしょう。

大阪のおばちゃんが、政治に向かって文句を言うのを聞くのと同じ感覚ですね。

オニイは受け入れるエンターテインメント

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カリスマ的MTFたちが、
どんどんメディア露出している中、
ちょっと疑問を抱くことはありませんか?

なぜMTFばっかりなんだろう。
FTMはどうした?似たような存在じゃないのか?
と。

TVを見ているとごくまれではありますが、FTMも出演しています。
坂上忍さんとダウンタウンの「本音でハシゴ酒」や、
「月曜から夜更かし」等で
芸能人ではない、素人のFTMが出演しているのを
何度か見たことがあります。

一時期、LGBTが話題になった瞬間には、「親にカミングアウトする」ことで感動を誘う番組がやたら増え、その中にもFTMは含まれていました。
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しかし、残念なことにFTMやオニイでマツコ・デラックスのように毎日見るような存在はいません。

出演回数も人数も、MTFに比べると雲泥の差がありますね。

オネエエンターテインメントにくらべて、
オニイのエンターテインメントは受け入れる態勢のことが多いのです。

こちらもオナベバーに行くと一目瞭然で、オカマバーのような「化け物感」は少なく
かわいらしいホストのようなFTMたちが、「普通のサービス」をします。
疲れたお客さんたちを、「優しく受け入れて」話を聞き、普通に答えるサービスです。

これが悪いというのではなく、あくまでも、「普通」だという事です。
非日常感というのが、オカマバーよりも薄いため、
エンターテインメント性と言う意味においては、「普通」なのです。

FTMやオニイはなぜ、メディア露出に向かないのか

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TVをはじめ、メディアが求めるもの、と言うのは
非日常感、そして物珍しさ、真新しさをフルに活用した、
エンターテインメントです。

女芸人が女を一部捨てて、奮起したり、
男を捨てたMTFやオネエが毒舌でやけに正しいことを言ったりしている中

女を捨てたけれど、特に振り切って何かがあるわけではないFTMやオニイの需要、
と言うのはあまりに普通過ぎて
これと言ってピックアップしづらい部分なのでしょう。

坂上さんが言っていましたが、「妙にリアルでかわいそう」というのは
捨てたもの(女)に対して、得られたものがあまりにも小さいという意味なのかもしれません。
(本人はそんなつもりで言ったわけではないでしょうけれど)

とは言え、MTFの「毒舌技」も、何十年も前から存在する
オネエコミュニティの中から徐々に生まれ育って、今の需要に合ったために
メディアに露出できることになったものです。

現在の社会情勢やメディアでは、FTMの需要は非常に小さいかもしれませんが
MTFコミュニティも「何とか面白いものを!」と思って奮闘している子が出始めています。
MTFやオネエだって、数十年前は「かわいそう」扱いを受け、
何とか社会に受け入れてもらおうと頑張ってきた歴史があるのです。

いつか、FTMたちにも、今のMTFのような受け入れ方をしてもらえる日が来るように、期待していきたいところです。

まとめ

いかがだったでしょうか?

こうしてみても、やはり、歴史が作り出した男性中心社会と言うものは
根強く残っていることも垣間見えたのではないでしょうか?
こういう社会が悪いんだ、というのではなく、こういう人がいてもいいよねと
認め合えるような社会になっていく将来を妄想すると
なんだかワクワクしてきますよね。

今後の日本が面白くなるかどうか、それは一人ひとりの意識にかかっているのかもしれませんよ。
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