生田斗真君が女性役！？「彼らが本気で編むときは、」トランスジェンダーの人の気持ちがわかる映画！

トランスジェンダーのお話だというので、「彼らが本気で編むときは、」を見てきました。
これまでもトランスジェンダーの人の話というのはそこそこありますが、この映画の何が良かったか、トランスジェンダーとは何か、という事も含めてご紹介します。

映画「彼らが本気で編むときは、」公式サイト生田斗真主演。2017年2月25日(土)全国ロードショー！

映画「彼らが本気で編むときは、」公式サイト。生田斗真主演。「かもめ食堂」「めがね」の荻上直子監督最新作。2017年2月25日(土)全国ロードショー！

「彼らが本気で編むときは、」あらすじ

頻繁に家出をしてしまうシングルマザー、ヒロミの娘、小学生のトモは母親の弟、叔父にあたるマキオを訪ね、しばらくの間世話をしてもらうことに。
以前も同じようなことがあり、、その時はマキオは一人暮らしをしていましたが、今回はマキオにパートナーができていました。「トランスジェンダー」の女性のリンコです。
リンコはマキオの母親を介護している介護士さんで、心も見た目もきれいな女性です。
一緒に暮らす二人暮らしに、トモが加わり、次第にトモとリンコの間に母娘のような信頼関係が作られていきます。
最初はリンコに対して違和感を感じていたトモも、リンコの優しい心や、トモの母親がしてくれなかったことをしてくれる行動から、リンコに愛情を感じるようになっていきます。
リンコも次第に、「トモの母親になりたい」気持ちが膨らんでいき、マキオとともにトモを家族として養子にすると決めた頃、家出していたヒロミが帰ってきて…

トランスジェンダーとは？

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最近はよく聞くようになった言葉「トランスジェンダー」ですが、あまり詳しくはわからないという方も多いでしょう。
身体の性別と心の性別が違う人のこと全般を指します。
身体は男の子なのに、心の中は女の子というのが、この映画に出てくるリンコのケースです。
早い人で幼いころから自分の体の性別に違和感を感じ、思春期にとても大きな壁にぶち当たります。体の男性化、女性化が進むためです。

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自分は女の子のはずなのに、おっぱいが膨らんでこない、生理が来ないと悩んだり、反対に男の子のはずなのにおちんちんが生えてこない、胸が膨らんできてしまった、生理が来てしまったと、死にたくなるほど悩んでしまうことが多いです。
その悩みの程度は、本人の気持ち次第で変わりますが、大きく分けて３つの程度に分かれます。
身体を心に合わせてすべて工事をしたいと思っているのがTS（トランスセクシュアル）、社会的に希望の性として扱われたいというのがTG（トランスジェンダー）、異性の格好をすることで満足できるTV（トランスヴェスタイト）です。
リンコの場合は、身体を工事して女性となっているので、TSに当たります。
好きな人の子供を授かることも、その前の段階の結婚も、たくさんの人の理解がなければ不可能となり、希望の人生を歩むことが一般の人に比べて、とても難しいとされています。

キャストについて

リンコを演じたのは、ジャニーズの生田斗真君でした。イケメンで筋肉質な体の彼が女性役を演じるとは！と最初はびっくりしました。
パッと見たときにはとても大きな手や、腕の筋肉の筋がとても男らしく、女性の服装がいまいち似合わない感覚でしたが、彼の演技上の立ち振る舞いはとても上品で、女らしい仕草になっており、生田斗真君がとてもよく勉強したのが良くわかりました。
最終的にはもう、女性に見えて仕方なかったです。

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相手の桐谷健太さんが演じたマキオは、とても不器用ですが愛情の深い男です。リンコのことも「好きになっちゃったからもう、関係なくなっちゃった」と、リンコの悩みや苦悩すべてを受け入れてくれる大きな人として、見ていてとても温かい気持ちにさせられました。

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マキオとヒロミの母役を演じたリリィさんも大御所としての味があり、ヒロミ役を演じたミムラさんや、トモの友人で男の子を好きになってしまう男の子の母親ナオミを演じた小池栄子さんの、トランスジェンダーに対する世間の冷たい目という部分で、とてもリアルなものを感じました。
リンコの母親のフミコもとてもいいキャラでした。あんなお母さんだったら、トランスジェンダーでも自殺しようとか考えずに希望をもって生きていけそうだな～と思えるような、素敵なお母さんを演じてくれていました。

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「彼らが本気で編むときは、」の感想

この映画を見ている間3回、涙が出ました。

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1回目

1回目は、思春期の頃のリンコに、フミコが毛糸で偽物のおっぱいを編んでくれた場面です。肌色の毛糸に、ぽっちがついてて、とてもかわいい出来栄えだったので、少しだけコミカルだけれど、息子を娘として受け入れて、ブラジャーを買い、

「これを代わりに入れておきなさい」という母としての心遣い。
なかなかできることではないと思いました。

私の母がしてくれなかったことを、映画の中の母はしてくれていると思うと、どうして？
という気持ちと、こんな風にしてもらいたかったという気持ちが錯綜して、涙が出てしまいました。
（私の場合は逆パターンなので、母親としては難しかったのかもしれません）

2回目

2回目は、家出したヒロミが、マキオの家にトモを迎えに来た際、リンコに「あんたが母親になれるわけないでしょう！子供に生理が来た時、説明できるの？」と詰め寄った場面です。残酷な言葉だという気持ちと、それを理解したくてもできなかったリンコの気持ちを思うと涙が止まらなかったです。
その後トモが母親を叩いて制したので、本質がわかっているのは子供の方なんだろうな、と思いました。

3回目

3回目は、トモの友人で男の子を好きになってしまった男の子が、母親のナオミにラブレターを破かれ、自殺を試みたときです。男の子を好きになることが異常だと考えるナオミは、自分の子がそうだということを認めたくなかったのでしょう。母親に拒絶されてしまった男の子が、魚の形に並べた睡眠薬を一粒づつ食べていくシーンは、とても切ないものがありました。小学生なのに、そんなことしたらだめ！と止めて入りたくなりました。

この映画を見て、トランスジェンダーへの差別や、違和感を払拭してくださいとは言いません。私としては、この映画をただの日常を切り取った映画で、トランスジェンダーの問題ということで見て欲しくないなという気持ちでいます。
おそらく監督も同じように考えて、トランスジェンダーであることゆえの問題に対しては差別という部分以外ではあまり着目していない感じがありました。それよりも問題なのは、「大人の勝手」という部分じゃないですか？と言われているような、そんな映画でした。